SIX2019 DAY1(“技” Developer Day) 参加レポート

はじめに

ABEJA社主催のAI CONFERENCE、SIX2019~技が共創し、藝があつまる~に参加してきました。

このイベントは2日に渡って開催されていて、本記事ではAI技術がメインの1日目のセッションで学んだ事を中心に書いています。

当日のメモだけだと詰めが甘いところもあったので、参加者の皆様のツイートを参考にさせて頂いております。

各セッションの資料は一部アップロードが予定されているようですが、まだ全てがアップロードされていないようなので、アップロードされ次第リンクを貼りたいと思います。

特別講演

ABEJA 緒方氏による特別講演からスタートしました。

内容は下記の通りです。

  • ABEJAの唱える「Technopreneurship」について
  • ディープラーニングの過去と現在
  • AI利用の為のタスク・パイプライン
  • ABEJA Platformについて(サービスや未来の展望など)
  • ABECOINについて(行動によるマイニング × バーチャルマネー

speakerdeck.com

講演中の「AIの社会実装準備は完了した」というメッセージが印象に残りました。

EngineerからTechnopreneurへ ~AI時代における21世紀のリーダーシップ論~

本セッションには、Technopreneurとは何か?AI時代における21世紀のリーダーシップとは何か?を知りたくて参加しました。

本セッションのディスカッションを通して語られた話は概念論や精神論、思考をベースにした表現が殆どで、Technopreneurとリーダーシップについて具体的にまとめた表現は語られませんでした。(聞き逃した?)

ディスカッションの内容も少し難しく、ツイートが他のセッションに比べて少なかったように思いますw

その為、きちんと理解しきれていない部分もあると思いますが、理解できる範囲で自分なりにまとめて書こうと思います。(誤解していたら御指摘頂けると嬉しいです...)

Technopreneurとは

Technopreneurshipとは、TechnologyとLiberal ArtsとEntrepreneurshipから構成されるもの(それぞれの詳しい説明は下の資料を参照)

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ディスカッションの中で語られた「Liberal Artsとは」(記憶の限り原文)

  • 常識からの自由
  • 未来を創造する力
  • 何かを作る話になるとフワッとした話になるが、それを埋めるもの
  • やればやるほど見えてくるものがあって、見えない未来が見えてくるようになる

リーダーシップとは

今回語られたリーダーシップは21世紀ならではの新しいリーダーシップではなかった様に思います。 (Technopreneurの話が21世紀のリーダーシップの話も含んでいたのかもしれませんが...)

しかし、語られた内容は良かったと思います。これを聞くことで2歩目以上を踏み出せなかった人が踏み出せるようになるかもしれません。

以下ディスカッション中で語られた「リーダーシップとは」を簡単にまとめたものです。(記憶の限り原文)

  • 最初はお馬鹿さん(周りに「やめとけよ馬鹿だな」とか言われる)
  • 歯を食いしばってやっていると、フォロワーが生まれ、やっとリーダーになれる
  • 自分の夢・志が皆の夢になる
  • 皆の本当の夢とは何かを理解する(自分の夢が皆の夢になる為には共感してもらう必要がある為)

所感

あくまで私の解釈ですが、Technopreneurとは

いつまでも新しい未来を思い描くことが出来て、
それを実現する為の具体的なプロセスをデザインする能力や技術を持った、
豊かな世界を実装できる人材

の事だと思いました。

多数のエンジニアは新しい技術を習得しても、それなりの結果を出すとそれなりに満足してしまいがちです。
少なくとも世界を変える意識は中々持っていないと思います。
しかし、「それで満足してはダメだ。もっと世界に影響を与える凄いものを目指すべきだ。」というメッセージをこめて「EngineerからTechnopreneurへ」というセッションタイトルにしたのではないかと思いました。

AI活用の要件定義から運用までをスムーズに

本セッションには、実際のAIプロジェクト話を聞きたくて参加しました。

本セッションの中で最も興味深かったのは、プロジェクトの失敗談でした。

エラー予知率55%という、最初の結果としては悪くない精度が出たにも関わらず、これからという時に現場からの協力が得られず失敗した話は、大きい知見だったように思います。

成果が出るまでに時間が掛かるAIだからこそ、ちゃんと現場と話や取り決めををして、ガッカリさせずに希望を持ち続けて頂く事は重要だと思いました。

資料はコチラ

少数データからの学習法の展開とABEJAの取り組み

本セッションには少数データというキーワードに惹かれて参加しました。

内容は期待以上のものでした。

小数データで精度が出るのは勿論、手戻り作業が減少する等の運用面でもメリットがあるExternalNet。
3分でデータ収集からモデル構築、検証までを実現するシステム(ABEJA Platform Acceleratorに搭載予定)のデモなど、強烈な内容でした。

正直この発表を聞いて、「AI基盤を作る」のはABEJAに任せて、それ以外の事に注力した方が良いのでは?と思ったくらいです。

データが足らない問題は、多くの企業に当てはまる問題だと思っています。 それを解決する為のノウハウを知る事ができて良かったと思いました。

(資料は後日、アップロード予定?)

徹底討論 : AI導入・運用を加速せよ、40分一本勝負!

この日最後のセッションです。 正直なところ、具体的な目的はなく面白そうな話が聞けそうなので参加しました。

セッション開始と共にマスクド・アナライズ氏がリングコールを背負って入場し、一部の参加者を盛り上げ、それ以外の参加者を置いてきぼりにして、始まりましたw f:id:takahiro-kato:20190314002027j:plain

本セッションは下図の内容に焦点を当ててのディスカッションでした。 真面目で面白い内容だったので、来年もあったら良いなと思います。 f:id:takahiro-kato:20190314001923j:plain

以下、学習した内容。詳しく書くとキリがないので箇条書き。

AIの阻害要因とは

  • 明確な目的・ビジョンが無い
  • ベンダー丸投げ(ガートナーも追認)
  • AI人材の採用問題(給与水準が高い)
  • 効果を書かないと稟議が通らない(AIだと無理)
  • 先行事例がありますか?問題

阻害要因の回避方法・AIの活用に必要な事

  • AIを活用したビジョンや未来図のデザイン
  • 優秀なAI人材の採用
  • AI人材を探すための費用はコストではなく投資と考える
  • ビジネス部門が稟議を出す
  • 失敗を覚悟した上での挑戦

PoCについて

  • PoCの目的や成果基準が曖昧な為、PoCから進まないことが多い
  • ただの技術検証になってしまっている、ビジネス検証であるべき

運用について

  • 基準さえ満たしていれば、精度向上だけを目指すのではなく、現在の精度から何が出来るのかを考える事も重要。
  • 精度が低くても、動くシステムに組み込む必要がある
  • スモールスタートはサブのシステムでは効果が出ない、お金を生んでいるところに本番システムを使わないとリターンが無い
  • 中国、アメリカに比べるとスピードが遅い

予算について

  • 予算を一億円確保しておかないと門前払い
  • 新たな価値を生み出す事を考えないと費用対効果に合わない

AI導入の為のサイクル

AIプロジェクトは...

  • Planから入ると進まない。やってみないと分からない
  • 試行錯誤を繰り返し、長期的に改善を重ねる必要がある
  • 成果が出るまで時間が掛かる
  • 確実に成果は出ない
  • 「成果が出ていないにも関わらず、予算使いまくっている」と周りに思われる

以上の為か、AI導入においてはPDCAサイクルはうまく回らない。

AI導入のサイクルを回すにはDGWA(出川)サイクルが適切。 DGWA(出川)サイクルを回し続けて、ノウハウを蓄積する事でAI導入の道が開けてくる。

ref. DGWA(出川)サイクルの詳しい内容はコチラをどうぞ

ベンダーに依頼する前に

まずは自身でAIを勉強して、触って、感じ取ってみる。

それでもダメ、技術的に実現できない、となったらベンダーに依頼。

参加者からの質疑応答

質問: 売上規模も小さい中小企業がAIに投資する価値があるか?
回答: 逆に大きなステップアップのチャンスと捉えて欲しい。AIはゲームチェンジをもたらすもの。

飲み会

SIXの後は知り合い同士で飲み会をやりました。その飲み会の中で良い事を言っていたので紹介。

  • AIの強みは現場担当者の最高実力者を超える事ではなく、熟練者の知識を展開できる事。

  • AI投資一億円はIT投資と考えると難しい。だから事業投資と考えるべき。事業投資にはそれ以上の費用をかけているはず。

AIに限らない話でしたが、以下の内容も面白かったです。

  • 時間も経営資源だが理解はされていない

  • 日本では、短時間でやる事が評価されず、長時間を掛けてやる事が美徳とされている

  • ライバル会社のスピードを意識していないのでは?→殆どの会社が足並み揃えてのんびりやっているから、意識しても尚更理解されない

  • 丁寧にやっても品質が上がるとは限らない(遅いだけになる恐れあり)

  • 早く実行して、早く失敗をし、早く改善する方が良い方法では?

今思うとこの飲み会、武闘派CIO 友岡さんとABEJA 小島さんによるセッションみたいなものでした、贅沢ですねw

所感

この日は、AIの第一線の方々の技術・知識や現場のリアルな話を知る事ができました。

それを通して、AIに関する情報のアップデートが出来たように思います。

基調講演で言っていたように、実装の為の準備は出来ているように思いますので、やってみる事が出来る事はやってみて、知見・経験を貯めていきたいと思いました。